TBS系ドラマ『不適切にもほどがある!』が全10話の放送を終えました。
ドラマ序盤から視聴者のあいだで様々な考察がなされ、そちらも話題になりましたね。
その中でも物語の中盤に明らかになった、やがて訪れる市郎と純子の死については、
みなさんも気になるところだったのではないでしょうか?
その事実を知った市郎は何か行動を起こすのか?それともそのままその時を迎えるのか?
最終回をよく観ると、そのことについてのヒントともとれる重要なシーンがありました。
考察も含め、解説していきます!
市郎とゆずるの病院での会話
最終回序盤に早くもその問題のシーンはやって来ます。
市郎がこれから昭和の時代へ帰るということで、ゆずるにお別れの挨拶をしに来ます。
ちょっと振り返ってみましょう。
市郎:「もう会えなくなるね。・・・・っ!?もう会えなくないね!?」
ゆずる:「会えますね。お義父さんはむしろこれから4年後です。」
ー市郎が昭和に帰った4年後、ゆずるが純子との結婚を申し込みに来るシーンの挿入ー
市郎:「やがて渚が生まれ、俺と純子がこの世を去る。」
ゆずる:「ところが2024年、お父さんがタイムマシンで私の前に姿を現す。」
市郎:「色々あって昭和に帰って4年後、お前が俺に会いに来る」
ー市郎が昭和に帰った4年後、ゆずるが純子との結婚を申し込みに来るシーンの挿入ー
市郎:「渚が生まれ俺と純子が死んで・・・」
ゆずる:「2024年、お義父さんがタイムマシンで現れる。」
市郎:「昭和に帰って4年後・・・・」
と、市郎とゆずるの関係は永遠にループしていくことが二人の会話の中で語られます。
この後の市郎のセリフじゃないですが、色々考えていくと吐きそう(笑)になるので、物理学的な話しは横に置き、二人の会話の字面だけで見てみてください。なんか気づきますよね?
市郎、ずっと生きてない?そして二人はずっと再会してない?
そうです、過去と未来とを行き来する市郎は永遠に生き続け、ゆずると何度も再会を果たすのです。
では、この会話の後、令和から昭和へ帰った市郎を追ってみましょう。
市郎と純子の運命
令和(2024年)で半年間過ごした後、市郎は昭和(1986年)へ帰ります。
その昭和で過ごした半年間の間に、市郎は、自分と純子の運命を知ってしまったわけです。
そして、昭和に戻った後、市郎は再び純子と暮らし始めることになりますが、どうでしょう、市郎にとっては一日一日がとてもかけがえのない時間に感じたのではないでしょうか。死んでしまうまでの時間を大切に生きたと思いませんか?
かたや純子も、短い人生を送ることにはなりますが、未来へ行って一時のアバンチュールを体験したり、本人は知らずとも、大人になった娘(渚)や孫にまで会えたなんて、誰も経験のし得ない、特別で幸せな人生だっと言えないでしょうか?
そう、市郎と純子は幸せな人生を送ったんです。
命は長さではない。そんなメッセージがあるように感じます。
おそらく市郎にとって未来を変えることは容易なことだったでしょう。
自分と純子の最期を知っていながらその行動に移さなかったことが、
このドラマの肝なのだと思います。
第5話、ぐずぐず言って中々ゆずるの所へ行こうとしない市郎を、純子が半ば強引に連れていく回想シーンがありました。
普通に見たら、市郎の態度は、「娘婿からの思いに素直になれず駄々をこねる義父」とうつりますが、見方によっては、自分と純子の死へ抗う姿にも見えます。未来へ行ってきた市郎はこの後起こる悲劇を知っていたのですから。
でも市郎はゆずるの元へ向かいます。
採寸に時間のかかるゆずるを急かすことだってできたでしょう。
それでも市郎は運命に逆らわず、予定通りに3人で朝までお酒を飲み、
予定通りの時間にお店を出て、あの大惨事に巻き込まれます。
彼は知っていたんです。
残されたゆずると孫の渚は、自分が死んだ19年後に自分(市郎)と再会するんだということを。
そこでまたゆずると渚に会えるんだということを。
ゆずるに見送られながら、市郎と純子が肩を並べて歩くシーンは、
このドラマの中でも特に胸を打つシーンのひとつです。
「純子の最期は自分がそばにいてあげられた」
市郎はそんな人生を敢えて選び、納得して人生を終えたのではないでしょうか?
未来のゆずると渚に実はすでに会っていた純子。
時間を漂流し永遠の命を手に入れたとも言える市郎。
市郎が未来を変えようとしなかった理由がここにあるような気がします。
最後に
ドラマのラストは、市郎が再び未来へ行こうとタイムトンネル(?)の中へ入っていくという、
続編も匂わせるようなシーンで締めくくります。
果たして続編はあるのか?
そのあたりも、このドラマが長く語られていく要因にもなるのではないかと思います。
個人的にも毎週楽しみにしていました。
続編については、観たいような観たくないような・・・といったところです。
いずれにせよ、脚本の宮藤官九郎さん、出演者、スタッフの方々、
素晴らしい作品をありがとうございました!
コメント